2045年のアメリカで稼ぐための、たった一つの心得(CEOブログ)
未来の人口は、もう生まれている
アメリカ市場の20年後の将来を読むのは、実はそれほど難しくありません。20年後の消費者の多くは、すでに生まれているからです。米国センサス局の人口推計によれば、2045年に非ヒスパニック系白人は人口の49.7%となり、建国以来初めて過半数を割ります。これは移民政策の振れ幅に左右されません。ブルッキングス研究所の試算では、仮に移民をゼロにしても2060年前後に同じ転換点へ到達します。つまり、白人が多数派でなくなる未来は、政治情勢にかかわらず確定しています。本稿では、この確定した未来から、米国で長く事業を続けるための心得を一つだけ示します。
成長を生むのは、もう白人ではない
経営判断にとって重要なのは、白人がマイノリティになるという事実そのものより、その内訳です。米国センサス局とブルッキングスの分析によると、今後、白人人口は高齢化し長期的に減っていく一方、消費者・労働力・納税者の増加分は、ほぼ全量が非白人によって供給されます。複数人種(特定人種に属しているとの自覚を持たない混血)・アジア系・ヒスパニック系が成長エンジンであり、白人市場は縮小していく。
世代で見ると、もっとはっきりします。ニールセンによれば、Z世代の購買力は2024年の2.7兆ドルから2030年には12兆ドルへ拡大します。ビザの予測では、2035年までの米国の支出成長のほぼ全てをZ世代が生み出します。そしてこのZ世代こそ、アメリカ史上最も多人種的な世代です。「成長する市場」と「若い世代」と「非白人層」という三つの円が、今後20年でほぼ完全に重なっていきます。
市場は「一つ」から「いくつも」へ
この変化が向かう先は、市場のかたちそのものの変化です。アメリカはさらに「一つの大きな市場」から、「複数の文化圏が並び立つ集合体」へと移っていきます。すでにヒスパニック系の購買力は約2.7兆ドルに達し、独自の言語・嗜好・メディアを持つ「市場の中の市場」を形成しています。今後、アジア系も複数人種層も、同じように独自の市場を育てていく。
だからこそ、「平均的なアメリカ人」という発想が、これから最も危ない前提になります。将来のアメリカは、益々、一つの塊として捉えられる国ではなく、複数の山が並ぶ分布として見なければならない。全員に好かれようとした商品が、結局は誰の心にも残らずに終わる。そういう市場へ移行していきます。
長く米国で稼ぐための、たった一つの心得
ここまでの予測を、一つの心得にまとめます。アメリカで将来にわたり、長く事業を続けたいなら、いま目の前にいる多数派ではなく、これから増える少数派に賭けることです。
今のアメリカに最適化した商品やブランドは、20年後には縮小する市場に最適化したことになります。逆に、いまはまだ小さくても急速に伸びる層、つまり非白人の若年層に早く根を張った企業は、その層の成長とともに事業を伸ばせます。市場が大きくなってから参入するのでは遅い。小さいうちに信頼を築いた企業だけが、果実を得ます。
幸い、日本企業にとってこの移行は追い風です。市場が複数の文化圏に分かれるほど、「全米の多数派を攻略する」という資本力勝負から解放されます。彼の国では狙いを定めた一つの層にだけでも深く刺されば、それで十分な事業になる。そして、これから最も伸びる非白人の若年層は、もともと日本のアニメや食、文化に好意的な層と重なっています。アメリカの人口が変わっていく方向は、アメリカが日本化するという、日本にとって都合の良い変化なのです。
図解:確定した未来から逆算する(別添参照)
人口構成(2024→2045)、Z世代の購買力(2024→2030)、市場構造(均質→多極)の三つの移行を、別添の図解にまとめました。経営会議での共有資料としてお使いください。

まとめ
アメリカ市場で長く勝つ条件は、今の市場に合わせることではありません。すでに生まれている未来の消費者に、競合より早く向き合うことです。2045年のアメリカは、もうデータの中に存在しています。
多数派の縮小を嘆くのではなく、増えていく層に賭ける。その姿勢を持てる企業だけが、変わり続けるアメリカで、長く稼ぎ続けられます。


